引っ越し

マナさんはすごく臆病で人見知りなので、僕達以外に懐くことはなかった。

何人か友達とか家に来ても、触れたら奇跡と思うくらい。

そんなマナさんにとって、引っ越しは大変だったと思う。

実はマナさんと一緒に住んでから、僕の仕事都合で4回も引っ越しをしている。

奈良→横浜→大阪→奈良→川崎

ホントよく頑張ってくれたし、申し訳なかった。

毎回車での移動だったけれど、特に最初の奈良から横浜への長時間の移動、車中キャリーケースで飲まず食わず寝ず鳴かず、約7時間かかり何も荷物がない引っ越し先の部屋に着いても、隅で固まって動かず、次の日荷物が着いて引っ越しやさんが帰ってもしばらく動かず、その日の夜にようやく探検開始。

2日目からは元どおりになったけれどつらかっただろうなあ。

車中ではきいちゃんが「野生のにおいがする!」と言っていた。

普段無臭なマナさんから強い匂いが発せられていた。

後にも先にも野生のにおいはこれが最初で最後、2回目の移動からはほとんどなくて、着いたその日から探検をするようにマナさんも強くなっていった。

他に野生的な姿を感じたのは、家に当時のバンドメンバーが6人くらい来てマナさんが囲まれた時に、怒って「フウー」と威嚇するような声を出した時。

囲まれた隙間からダッシュで💨してすぐに隠れてしまった。

猫ちゃんにとって環境の変化が一番のストレスで病気につながることがあるとよく書いてあるけど、それからすると仕事の都合とはいえ、これが後々病気の原因となったかもで、マナさんには「ごめん、悪かった」「よく我慢してくれた。ありがとう!」